クリアストロングショットアルファとクリアネイルショットの成分の違い
2017-07-13|未分類
こんにちは!
わたくし、お薬大好き。
現役で薬剤師として勤務しておりますsatomiと申します。
さて、早速ですがみなさま。
クリアストロングショットアルファ(旧名クリアネイルショット)っていう、今じわじわと話題のお薬をご存知でしょうか?
わたしも正直、今まで存在すら知らなかったわけですが(ごめんなさい←)
なんでも、皮膚科域でも治療が難しいと言われております、爪白癬にとても効果があると今巷でとっても好評なお薬なんだそうです。
あ、爪白癬ってご存知です?
一般的には「爪水虫」って呼ばれてるやつですね。細菌ではなく、真菌です。いわゆるカビ。
水虫の菌が爪の奥深くで増殖して、爪の変形、肥厚、劣化をさせてしまう皮膚感染症の一種です。
一度感染してしまうと、爪深くで増殖するため薬品を塗ってもなかなか菌が死滅せず、新しく生えてくる爪にも広がり、その後何十年にも渡って悩まされる…なんて話を、わたしも患者さんからよく相談されます。
ほんと厄介なやつ。
せめて塗り薬の浸透しやすい足裏で暮らしてくれ。まじで。
そんな超めんどくさい爪の居候人を駆除できるという、画期的な商品があるとのこと!
個人的にちょっと気になったので、こちらの有効成分について、ほんの少し調べてみました。
まずは、このクリアストロングショットアルファを販売している会社が1番ゴリ押ししている薬剤の浸透性について。
一般的に病院で処方される爪白癬治療薬はすべてローション剤と呼ばれる液体タイプですが、こちらはジェルタイプだそうです。
肥厚した爪のタンパクに浸透するように親油性のコーティングが施されているとか。
ふむふむ。なんか薬剤師国家試験のときに勉強した気がする内容ですね。
どんなに効果のある薬剤を使用していようと、感染部位に有効成分が到達しなければ意味がありません。
DDS(薬剤を病的部位に確実に運ぶ輸送システムのこと)観点から見れば、これが正解じゃないのかな?
この技術は医学雑誌「医学と薬学」にも掲載されたとのこと。
もちろん私も手にしたことがる、業界ではとってもメジャーな薬学雑誌です。
詳しい内容をぜひ拝読させて頂きたかったのですが、ネット上に公開されているものは文字が小さすぎて、拡大してもボヤけて読めませんでした。残念。
さて、それでは肝心の有効成分についてみてみましょう。
こちらの薬剤の有効成分は、病院の皮膚科で一般的に使用されている抗真菌薬とは全く違うものですね。
みてみましょう。
まずは、旧名クリアネイルショットの成分から。成分がどのように進化しているのかを確認するのも重要です。
①テルピネン-4-オール
こちらは、精油。いわゆるアロマの成分ですね。天然の素材から抽出された精油成分が水虫菌を殺菌する作用があるとのことです。
一般的に病院で処方される薬には真菌の生合成、または増殖を直接阻害する作用がありますが、これにはそれがありません。
ただ、芳香の性質により抗菌、抗真菌の作用があるようです。アロマの殺菌効果は、正直なところ一般的な抗真菌薬には劣ります。
が、そのぶん天然成分であり、皮膚刺激などの副作用は弱いため、肌が弱い方には適しているかもしれません。
「病院の薬は効かなかったけど、クリアネイルを使うと急に症状が改善されました?」と一部ではありますが、殺菌作用としては医療用のほうが効果があります。これ大事。
②竹酢液
抗菌、抗真菌効果があるそうですが、機序は不明とのこと。まぁ昔からばあちゃんがやってたとか、そういう昔からの知恵ってやつでしょうか。
③αテルピネオール
食品添加物で、香料などに使用されています。殺菌効果?聞いたことない。
④シトラール
レモングラスとかに入ってるやつですね。たしかに身体には良さそうな精油の一種。塗布後はすっきり感があると思います。
抗菌作用があるので細菌には効果がありそうだけど、真菌に効果があるか?…ないと思う。
スースーするというか、皮膚刺激感があるので注意。
⑤シトロネラール
蚊よけとか、虫除けに使われる精油の一種。何もしないよりは、カビにも効果があるかもしれませんが。虫が嫌う香りだからといってカビも死滅するかっていうと、しません。
⑥ポリアミン
皮膚の新陳代謝があがります。
それによって、爪の生え変わりが早くなります。一度肥厚した皮膚は元には戻らず、抗白癬薬を使用したとしても、正常な爪が生え変わるまでは継続する必要があります。
生え変わりを早めたいのであれば、この成分はいいと思う。(あくまで若干の差ではありますが)
⑦スクワレン
サメから抽出される油の一種です。
健康食品のうちのひとつで、内服のサプリメントも存在します。経皮吸収がどの程度か調べましたが、参考にできるような文献はありませんでした。
皮膚を柔らかくするとのことで化粧品にもたまに含まれているらしい。機序不明なのでなんとも言えません。
⑧アボカドオイル
その名の通り、アボカドです。ここらへんは塗るよりも、実際にサプリメントや食事で摂取したほうが良さそうですね。血液にのって全身に作用して美肌になるほうがお得。(byエイジングの鬼)
ここまでが旧名クリアネイルショットの主な成分。
クリアストロングショットアルファは次のような成分になっています。
例えば、爪の下に多数の菌が存在することを明らかにしたデータがあります。
爪の下をマニキュアで覆った場合と覆わなかった場合で、それぞれに殺菌剤未配合の普通石けんで手洗いを複数回行い、手指から回収される菌数の変化を調べました。
その結果、爪先を覆った場合は菌数は減少していきますが、爪先を覆わなかった場合は、手洗いを複数回行っても多数の菌が回収されています。
つまり、爪下の隙間部分に菌が多数存在していることがわかります。
①ベンザルコニウム塩化物
殺菌消毒剤(逆性石けん液)などに含まれる第3類医薬品です。殺菌・消毒が効能・効果として認められます。
ちなみに新型コロナウイルスに有効と判断された界面活性剤の1つです。(2020年6月29日の最終報告時点)
あ、第3類医薬品っていうのは、第1類・第2類医薬品以外の一般用医薬品でドリンク剤の「リポビタンDロイヤル」が分かりやすいかもしれません。
この他にも整腸剤、消化剤などが親しみあるかもしれませんね。
②エタノール
アルコールの一種であり、私たちが飲むお酒に含まれる物質で、「エチルアルコール」「酒精(しゅせい)」などとも呼ばれます。
さまざまな菌・ウイルスに対しての殺菌効果が期待できます。
③濃グリセリン
濃グリセリンは無色透明のシロップ状の液体です。
化粧品をはじめとして甘味料や保存料など幅広い用途で使われています。
化粧水や乳液、クリーム、石けんなどが一般的な利用先です。
濃グリセリンの効果・効能は肌の潤い、肌を温める、薬剤に粘りを出すなどが考えられます。
④軽質流動パラフィン
軽質流動パラフィンは石油から得た無味、無臭、無色透明の油です。炭化水素類が主成分です。
化粧品関係としてはクリーム、ベビーオイル、ヘアーオイルなどに用いられます。
すぐれた皮膚保護性や肌の潤いを保つなどの保湿効果が期待できますね。
⑤グリセリン脂肪酸エステル
豆腐をつくるときに豆乳が泡立つの抑えるための「消泡剤」として使われます。
使用された食品の取り扱いの制限をしていない食品添加物です。
恐らく成分を繋げる潤滑剤(乳化剤)としての役割があるのだと思われます。
⑥ポリオキシエチレンベヘニルエーテル
これも化粧水、乳液、美容液、保湿クリームなどに使われます。
主に乳化剤として、ヘアケア製品に配合されています。
グリセリン脂肪酸エステルと同じく成分同士をつなぎ合わせる役割があると思われます。
この他にも
カルボキシビニルポリマー
パラオキシ安息香酸メチル
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット
モノステアリン酸グリセリン
パルミチン酸セチル
ミツロウ
パラオキシ安息香酸エチル
水酸化カリウム
オリブ油
ベヘニルアルコール
水素添加大豆リン脂質
エデト酸ナトリウム水和物
香料
精製水
などの成分も含まれますがずいぶんと変化していることが分かりますね。
【まとめ】
有効成分の考察としてはこんなとこです。
殺菌作用、抗真菌作用は、厚生労働省が承認している医療用医薬品のほうが効果は高いですね。
なので、確実に水虫菌が感染していて、爪周りや他の表皮部位にも水虫様病変があるのなら、恥をしのいで近所の皮膚科を受診することをお勧めします。
もちろん保険適応なので、そんな高くもないですし。
ただ、「爪を柔らかく、滑らかにしたいだけ。」とか、「以前皮膚科で抗真菌薬を長期間使用していて、確実に水虫菌は死んでるでしょう確実に!」ということであれば、爪白癬の2次治療としては適していると思います。
あと、医療用のものはどうしても化学物質ですし、刺激感があるので、苦手な方や、あまり人工的なものは…と懸念される方は、一度こちらを使ってみてもいいんじゃないでしょうか?
うちの薬局にもアロマの駆虫効果を狙った虫除けスプレーを販売していますが、患者さんには人気です。
あくまでアロマなので、「めっちゃ効きますよw」とはこちらからはお勧めしてませんが。
まぁでも、赤ちゃんでも使える天然成分なので、そこは安心してもいいと思いますよ。

わたくし、お薬大好き。
現役で薬剤師として勤務しておりますsatomiと申します。
さて、早速ですがみなさま。
クリアストロングショットアルファ(旧名クリアネイルショット)っていう、今じわじわと話題のお薬をご存知でしょうか?
わたしも正直、今まで存在すら知らなかったわけですが(ごめんなさい←)
なんでも、皮膚科域でも治療が難しいと言われております、爪白癬にとても効果があると今巷でとっても好評なお薬なんだそうです。
あ、爪白癬ってご存知です?
一般的には「爪水虫」って呼ばれてるやつですね。細菌ではなく、真菌です。いわゆるカビ。
水虫の菌が爪の奥深くで増殖して、爪の変形、肥厚、劣化をさせてしまう皮膚感染症の一種です。
一度感染してしまうと、爪深くで増殖するため薬品を塗ってもなかなか菌が死滅せず、新しく生えてくる爪にも広がり、その後何十年にも渡って悩まされる…なんて話を、わたしも患者さんからよく相談されます。
ほんと厄介なやつ。
せめて塗り薬の浸透しやすい足裏で暮らしてくれ。まじで。
そんな超めんどくさい爪の居候人を駆除できるという、画期的な商品があるとのこと!
個人的にちょっと気になったので、こちらの有効成分について、ほんの少し調べてみました。
まずは、このクリアストロングショットアルファを販売している会社が1番ゴリ押ししている薬剤の浸透性について。
一般的に病院で処方される爪白癬治療薬はすべてローション剤と呼ばれる液体タイプですが、こちらはジェルタイプだそうです。
肥厚した爪のタンパクに浸透するように親油性のコーティングが施されているとか。
ふむふむ。なんか薬剤師国家試験のときに勉強した気がする内容ですね。
どんなに効果のある薬剤を使用していようと、感染部位に有効成分が到達しなければ意味がありません。
DDS(薬剤を病的部位に確実に運ぶ輸送システムのこと)観点から見れば、これが正解じゃないのかな?
この技術は医学雑誌「医学と薬学」にも掲載されたとのこと。
もちろん私も手にしたことがる、業界ではとってもメジャーな薬学雑誌です。
詳しい内容をぜひ拝読させて頂きたかったのですが、ネット上に公開されているものは文字が小さすぎて、拡大してもボヤけて読めませんでした。残念。
さて、それでは肝心の有効成分についてみてみましょう。
こちらの薬剤の有効成分は、病院の皮膚科で一般的に使用されている抗真菌薬とは全く違うものですね。
みてみましょう。
まずは、旧名クリアネイルショットの成分から。成分がどのように進化しているのかを確認するのも重要です。
①テルピネン-4-オール
こちらは、精油。いわゆるアロマの成分ですね。天然の素材から抽出された精油成分が水虫菌を殺菌する作用があるとのことです。
一般的に病院で処方される薬には真菌の生合成、または増殖を直接阻害する作用がありますが、これにはそれがありません。
ただ、芳香の性質により抗菌、抗真菌の作用があるようです。アロマの殺菌効果は、正直なところ一般的な抗真菌薬には劣ります。
が、そのぶん天然成分であり、皮膚刺激などの副作用は弱いため、肌が弱い方には適しているかもしれません。
「病院の薬は効かなかったけど、クリアネイルを使うと急に症状が改善されました?」と一部ではありますが、殺菌作用としては医療用のほうが効果があります。これ大事。
②竹酢液
抗菌、抗真菌効果があるそうですが、機序は不明とのこと。まぁ昔からばあちゃんがやってたとか、そういう昔からの知恵ってやつでしょうか。
③αテルピネオール
食品添加物で、香料などに使用されています。殺菌効果?聞いたことない。
④シトラール
レモングラスとかに入ってるやつですね。たしかに身体には良さそうな精油の一種。塗布後はすっきり感があると思います。
抗菌作用があるので細菌には効果がありそうだけど、真菌に効果があるか?…ないと思う。
スースーするというか、皮膚刺激感があるので注意。
⑤シトロネラール
蚊よけとか、虫除けに使われる精油の一種。何もしないよりは、カビにも効果があるかもしれませんが。虫が嫌う香りだからといってカビも死滅するかっていうと、しません。
⑥ポリアミン
皮膚の新陳代謝があがります。
それによって、爪の生え変わりが早くなります。一度肥厚した皮膚は元には戻らず、抗白癬薬を使用したとしても、正常な爪が生え変わるまでは継続する必要があります。
生え変わりを早めたいのであれば、この成分はいいと思う。(あくまで若干の差ではありますが)
⑦スクワレン
サメから抽出される油の一種です。
健康食品のうちのひとつで、内服のサプリメントも存在します。経皮吸収がどの程度か調べましたが、参考にできるような文献はありませんでした。
皮膚を柔らかくするとのことで化粧品にもたまに含まれているらしい。機序不明なのでなんとも言えません。
⑧アボカドオイル
その名の通り、アボカドです。ここらへんは塗るよりも、実際にサプリメントや食事で摂取したほうが良さそうですね。血液にのって全身に作用して美肌になるほうがお得。(byエイジングの鬼)
ここまでが旧名クリアネイルショットの主な成分。
クリアストロングショットアルファは次のような成分になっています。
例えば、爪の下に多数の菌が存在することを明らかにしたデータがあります。
爪の下をマニキュアで覆った場合と覆わなかった場合で、それぞれに殺菌剤未配合の普通石けんで手洗いを複数回行い、手指から回収される菌数の変化を調べました。
その結果、爪先を覆った場合は菌数は減少していきますが、爪先を覆わなかった場合は、手洗いを複数回行っても多数の菌が回収されています。
つまり、爪下の隙間部分に菌が多数存在していることがわかります。
①ベンザルコニウム塩化物
殺菌消毒剤(逆性石けん液)などに含まれる第3類医薬品です。殺菌・消毒が効能・効果として認められます。
ちなみに新型コロナウイルスに有効と判断された界面活性剤の1つです。(2020年6月29日の最終報告時点)
あ、第3類医薬品っていうのは、第1類・第2類医薬品以外の一般用医薬品でドリンク剤の「リポビタンDロイヤル」が分かりやすいかもしれません。
この他にも整腸剤、消化剤などが親しみあるかもしれませんね。
②エタノール
アルコールの一種であり、私たちが飲むお酒に含まれる物質で、「エチルアルコール」「酒精(しゅせい)」などとも呼ばれます。
さまざまな菌・ウイルスに対しての殺菌効果が期待できます。
③濃グリセリン
濃グリセリンは無色透明のシロップ状の液体です。
化粧品をはじめとして甘味料や保存料など幅広い用途で使われています。
化粧水や乳液、クリーム、石けんなどが一般的な利用先です。
濃グリセリンの効果・効能は肌の潤い、肌を温める、薬剤に粘りを出すなどが考えられます。
④軽質流動パラフィン
軽質流動パラフィンは石油から得た無味、無臭、無色透明の油です。炭化水素類が主成分です。
化粧品関係としてはクリーム、ベビーオイル、ヘアーオイルなどに用いられます。
すぐれた皮膚保護性や肌の潤いを保つなどの保湿効果が期待できますね。
⑤グリセリン脂肪酸エステル
豆腐をつくるときに豆乳が泡立つの抑えるための「消泡剤」として使われます。
使用された食品の取り扱いの制限をしていない食品添加物です。
恐らく成分を繋げる潤滑剤(乳化剤)としての役割があるのだと思われます。
⑥ポリオキシエチレンベヘニルエーテル
これも化粧水、乳液、美容液、保湿クリームなどに使われます。
主に乳化剤として、ヘアケア製品に配合されています。
グリセリン脂肪酸エステルと同じく成分同士をつなぎ合わせる役割があると思われます。
この他にも
カルボキシビニルポリマー
パラオキシ安息香酸メチル
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット
モノステアリン酸グリセリン
パルミチン酸セチル
ミツロウ
パラオキシ安息香酸エチル
水酸化カリウム
オリブ油
ベヘニルアルコール
水素添加大豆リン脂質
エデト酸ナトリウム水和物
香料
精製水
などの成分も含まれますがずいぶんと変化していることが分かりますね。
【まとめ】
有効成分の考察としてはこんなとこです。
殺菌作用、抗真菌作用は、厚生労働省が承認している医療用医薬品のほうが効果は高いですね。
なので、確実に水虫菌が感染していて、爪周りや他の表皮部位にも水虫様病変があるのなら、恥をしのいで近所の皮膚科を受診することをお勧めします。
もちろん保険適応なので、そんな高くもないですし。
ただ、「爪を柔らかく、滑らかにしたいだけ。」とか、「以前皮膚科で抗真菌薬を長期間使用していて、確実に水虫菌は死んでるでしょう確実に!」ということであれば、爪白癬の2次治療としては適していると思います。
あと、医療用のものはどうしても化学物質ですし、刺激感があるので、苦手な方や、あまり人工的なものは…と懸念される方は、一度こちらを使ってみてもいいんじゃないでしょうか?
うちの薬局にもアロマの駆虫効果を狙った虫除けスプレーを販売していますが、患者さんには人気です。
あくまでアロマなので、「めっちゃ効きますよw」とはこちらからはお勧めしてませんが。
まぁでも、赤ちゃんでも使える天然成分なので、そこは安心してもいいと思いますよ。
